むらむら

遊星からの物体Xのむらむらのレビュー・感想・評価

遊星からの物体X(1982年製作の映画)
5.0
ジョン・カーペンターの傑作ホラー。「来る」に続き襲来モノとして鑑賞。

とはいえエイリアン自体ではなく、「誰がエイリアンに取り憑かれているか」で疑心暗鬼になる南極観測隊員たちが主人公。

生殺与奪権を物体Xことエイリアンに握られまくった男たちは、猜疑心の中で孤立。仲間を監禁、捕縛、果ては撃ち殺しさえしてしまう。

それでも、着実に忍び寄るエイリアンの魔の手。この「誰もが信じられなくなる」状況が堪らない!

絶対、ジョン・カーペンターは、撮影現場を「人狼ゲーム」で、ひと仕切り盛り上げて、撮影に望んだに違いない。それくらい疑心暗鬼っぷりが真に迫っている。

この作品、「ブレードランナー」と同日公開され、当時は「E.T.」公開直後で、心温まるエイリアンものが支持されてたこともあり、興行的には惨敗している。

ただ、圧倒的なクリーチャーの造形と、「ドキッ! 男だらけの南極観測基地」とでも表現したくなる、男しか出てこない硬派で緊張感のある設定のおかげで、カルト的な人気を博すこととなった。

マニアたちがこの作品を熱狂的に支持する気持ち、痛いほど分かります。

それはともかく、この作品のもう一つの魅力が、全ての不幸を運んでくる、可愛いワンコ(ジェドって名前らしい)の存在。

このワンコがエイリアンに憑依されたおかげで、観測隊は全滅の危機に瀕してしまうわけですよ。

絶対、犬飼ってる人は、この作品観たら、ワンコへの不信感に悩まされると思う。

おまけに、この作品が公開された1982年の翌年、「南極物語」が公開されている。

この作品を観たあと「南極物語」を観てしまった人は、確実に

「タロとジロは、エイリアンだーーーっ!」

と、スクリーンの高倉健に向かって叫んでたに違いない。

そして、高倉健が日本刀でタロ・ジロと死闘を繰り広げる展開を予測した筈だ。あぁ、そんな「南極物語  南極の対決」も観てみたかった。

これはさらに「物体X」と関係のない、全くの余談だけど、同じ1982年には、もう一つ、犬好きにとって外せない傑作「幻の湖」も公開されてる。

ああ、当時、犬映画という噂だけを聞きつけて、「幻の湖」→「遊星からの物体X」→「南極物語」とハシゴした人がいたら、いったいどんな感想を持ったのだろう。

「シロ!」(トルコ嬢が)
「ジェロ!」(南極隊員が)
「タロー! ジロー!」(高倉健が)

犬派の混迷した状況を目の当たりにして、俺だったら、確実にネコ派になってるね!

というわけで、犬好きの人は、「幻の湖」、「南極物語」、口直しとして「マロナの幻想的な物語り」もついでに観て、しばらく冬眠することをお勧めします!


↓このエイリアンが良かった!

           カサカサ
/\彡⌒ ミ/\   三 三
/\(´・ω・`)/\  三 三
むらむら

むらむら