チョマサ

地獄の黙示録のチョマサのネタバレレビュー・内容・結末

地獄の黙示録(1979年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

複数の公開版があるのだけど、今回見たのはカンヌ国際映画祭に出品された版。日本公開時1980年には最後にナパーム弾がカーツの遺跡を焼き尽くす場面が追加されたそうだ。

この映画のことは観る前から知っていた。最低映画館の人がやってるここhttp://www5b.biglobe.ne.jp/madison/mondo/m_04/m04_1.htmlとか「映画の見方が分かる本」でこの映画の裏はある程度知っていた。今回観るまえにNHKBSプレミアで放送していたのをながら見した。長すぎる。

前半と後半とよく言われるように、この映画は進むにつれて映画のスタイルが変わってくる。軍人たちの描写はおそらくジョン・ミリアスの影響が出まくってんだろうなぁと思った。ただひたすらに川を下っていくパートがコッポラがやりたかったことなんだと思う。コッポラは路上も撮りたかったらしいけど、路上と闇の奥は、オチを目指してそれまでの道のりの出来事をバラバラに盛り込んでいく西遊記のような話なので、こういった構造の話が好きなのかなと思った。

キルゴア大佐が出てくるところもアメリカ人は野蛮人なんだぜっていう皮肉満載の人物描写で、ただ、それなのに戦士らしい魅力もあるので、全く批判的になりきれないようになった。
川を下るパートは、アメリカ映画特電で何であんな役立たずの面子でカーツ大佐暗殺の任務を任せたのか、とツッコまれてたけど、たぶん当時のベトナム戦争に行ってたのがああいう奴らだっていうことを告発する目的で書いたのかもしれない。ただ、そういった矛盾が生まれてるのだけども。

川を下るパートはアメリカのプレイメイトの慰安シーンからあとはあんまり面白くないんだけど(とは言っても虎に襲われてビビって帰りて―と叫ぶシーンは笑った。そもそも心的ショックな場面はあったけどいくらなんでも険悪になりすきじゃないかと疑問になる。)全編にわたって映像が魅力的なのでつまらないわけじゃなかったし、何か見ていて次は何かあるんじゃないかと先が気になるように撮ってあった。全然関係のない誤魔化しで入れたエリオットの荒れ地を読むシーンでも、太ったブランドの体を隠して陰翳と照明の対比がたいへん美しい場面になっていて、すげえと思った。
特に冒頭の、The DoorsのThe Endをバックにオーバーラップを重ねたモンタージュはとても魅力的。ヴィットリオ・ストラーロすげえ。

映画としてはベトナム戦争への批判と軍人というよりも戦士を描こうとしてるような気がする。それが上手くいってるかは不明だけど。

上映後に原恵一監督と宮崎映画祭実行委員会の方のトークショーがあった。その話でヤキニクロードが地獄の黙示録のパロディであることや、上映当時のことや好きな場面のことをお二方とも話されてて面白かったです。

あとGATEとかいうアニメでワルキューレの騎行の一連の場面がパロられたのをきっかけに、漫画家の篠房六郎氏がtwitterで、ワルキューレの騎行を使ったのはアメリカ軍がナチスと同じことをベトナムでやってるんだという皮肉が込められている、っていう解説がとても勉強になりました。その後の文脈の話も勉強になりました。
http://togetter.com/li/858113

そうだったウォルターマーチの編集の本も読みたいです。120時間以上撮影フィルムがあって、それから編集したことがその本に書いてあるらしい。

思い出したので、これも。上陸した時にニュースフィルムを撮ってる監督がコッポラで笑った。
チョマサ

チョマサ