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扉の陰の秘密のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

扉の陰の秘密(1948年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

身寄りの無い絶世の美女ジョンベネ(しかも金持ち)が、旅行先で金持ちイケメンと恋に落ちて、結婚したけど…という話。

ネタバレすると、金持ちイケメンが実は殺人嗜好の持ち主で殺人現場の部屋をコレクションしていたり(マジ)、結婚歴も実はあり(前妻とは死別)、さらに子連れだった(この子ども映画に必要だった?)、と後だしジャンケンでネガティブ要素がわんさと出てくる。金持ちイケメンがナチュラルにヤバい奴、というのが結婚してから分かるというトホホストーリー(結婚は慎重に!)。

そもそも、ジョンベネが金持ちイケメンに惹かれるシーンがヤバい。旅先のメキシコでジョンベネが友人と街中で寛いでいたら、突然女性の「ンキャァーー!!」という悲鳴が響き渡る。
「一体何事か?」と思うと、むさ苦しい男二人がナイフを持って闘っていた!「何のために、そんなことしてんの?」というと、悲鳴を上げた女を手に入れるため男達は争っていた。ムカつくのが当の女が「あぁ、美しいって罪ぃ~、私困っちゃうぅ!」とどや顔してるところ。
生死を賭けた強烈なインパクトに目が釘付けになる温室育ちのジョンベネ。
正にそのタイミングでジョンベネは金持ちイケメンと出会い、電流が流れたような衝撃を彼から感じたと言うのだが、命賭けのナイフファイトと金持ちイケメンの殺人嗜好の匂いをリンクさせてるのかも知れないけど、それを感じ取るジョンベネがただ単にヤバい奴。

金持ちイケメンのお屋敷に嫁ぐジョンベネ。映画でお屋敷というと、お約束は「開かずの間」。本作でもきっちり開かずの間が出てくる。深夜にジョンベネがこっそり開かずの間に侵入するシーンのスリル感は素晴らしかった。21世紀を生きる自分の方が恐怖で悲鳴を上げそうだった。
ロウソクの長さで「殺されんのアタイじゃん!」と気付いて、一気に青ざめるのも良い!

結局、金持ちイケメンの殺人嗜好は幼少期のトラウマ?が原因ということで、ジョンベネの執念セラピーで、金持ちイケメンは無害な男に生まれ変わる。パッパラパーのお嬢様かと思いきや深い愛情を持っていたジョンベネ、恐るべし。身寄りが無いというのが家庭への渇望となっていたか。

面白い所も案外あったのだが、「結局どゆこと?」と煮え切らない印象が全体的にある。金持ちイケメンの幼少期トラウマを解消できたみたいな感じになっていたが、そもそもそういう素養(癇癪持ち、神経質)のある人という気がして仕方ない。

前妻の謎であったり、屋敷が全焼したり、ヒッチコックの「レベッカ」を思わせずにいられない本作。公開はレベッカが1940で本作が1948。この2作を比べると、「レベッカ」の方が面白かったなぁという印象。(過去の自分のレベッカのレビュー観たら、2.5点の低評価で戦慄した。バカだわ、俺。)

本作でフリラン監督作品、3本目鑑賞であるが、やっぱり「何だかなぁ~」と今週常連になりつつある心の阿藤快が渋谷の夜に首をもたげる。
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