マーチ

2001年宇宙の旅のマーチのレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
4.5
【名作 | 60年代】〈リバイバル上映〉

《天才は、時に人の脳の限界を突破する》

今年50周年の伝説的傑作を、ハロウィンに念願の劇場鑑賞。それもIMAXで。

人間は脳の半分も使いこなせていないというけれど、この作品を観ている間だけは脳フル回転の全稼働で思考し、考え、自分の中での解釈を導こうとしているのではないかと思われる。

確かな解釈の筋道が存在する作品ではあるが、人の数だけ解釈が発生するように態々キューブリックが公開直前に解説を削った作品ではあるので、初見の人は何も情報を入れずにひたすら考えに考えを重ねる甘美で贅沢な時間を味わって欲しいし、キューブリックが誘う不思議で一生涯の忘れがたい振り回され続ける特殊な映画体験を楽しんで欲しい。

分かりやすさが求められる昨今、この先に今作ほど全身の細胞が覚醒するかのような、映画の常識を覆し超越した“体験”を味わうことのできる作品が生まれるとは到底思えないし、過去を振り返ってみてもこれほど画期的なのはきっとこの作品のみだろう。

IMAXの明るい画面で観ると今までとはまた違った発見があって、見えていなかったところまで繊細で明確に見えたような気がした。また、IMAXの音響で体全体にクラシック音楽を浴びるという高尚で痺れる出来事に酔いしれた。

入場曲と退場曲、インターバル(休憩)含め、劇場と一体型になった劇場で観てこそその全貌を知り得ることができる作品の為、映画館で念願叶って観られたことに各方面関係者各位、ただただ感謝しかない。
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