継

レッサー・エヴィルの継のレビュー・感想・評価

レッサー・エヴィル(1998年製作の映画)
5.0
冒頭で挑戦的に犯人を明らかにする、ミステリーとサスペンスの狭間を自在に往き来する様な幕開けは、
4人が背負う罪を明らかにし、エゴと猜疑心が交錯する会話劇で互いの本性をも曝け出した果てに、
やがて 『誰が犠牲になるか?』 へフォーカスしてクライマックスへ雪崩れ込んでいくー。

とても上質なクライム・ムービー。
派手さはこれっぽっちもなくf(^ー^;、どんでん返しだけを期待するとハズレるかもしれませんが、
計算された鮮やかな構成と、人の心理の深淵を突いて本性を抉(えぐ)り出す、練って練って練りまくったであろう脚本で勝負する “低予算でもこれだけ作れるぜ!”ってゆーセンスを見せてくれる映画です。

前回エントリー時もレビューを書いたんですけど、
弁護士は盗聴、警官は横領という具合に、4人の「悪行」が各々に充てた職業をうっすらと皮肉る行為になっている事に、今回漸く気付きました(笑)。


現場を意図的に映さずに2発の銃声のみを聞かせ、
「シュレディンガーの猫」さながらの様相を作り出して観る者を一旦煙に巻いた後に、冒頭の葬儀シーンへ回帰してその種を明かす、、、
全ての辻褄が合う偽装工作。

けれど,
鏡に映る己を殺しても, 口止めの報酬を燃やしても, 到底償えぬ
罪と罰.
隠し持った「証拠」は己への戒めか,その意味合いを「懺悔」へと変えるかの様に 燃やしも棄てもせず
Bible(聖書)と共に傍らの助手席へ置き 車を, 人生を, 走らせる...

『レッサー・エヴィル』直訳すれば “悪魔にも劣る”、その人間の性(さが)。
タイトルに、偽りなし。
継