松井の天井直撃ホームラン

トラック野郎 天下御免の松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

トラック野郎 天下御免(1976年製作の映画)
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↓のレビューは。今はもうなくなってしまった映画レビューサイトに、鑑賞直後に投稿したレビューを。こちらのサイトに移行する際に、以前のアカウントにて投稿したレビューになります。

☆☆☆

オープニングは、田中角栄を意識した様な政治家を演じるゲスト出演の金子信雄。
これを蹴散らし男一匹桃次郎が行く。“あの有名ヤクザ映画”のファンならば拍手喝采の場面だ(笑)
今回の舞台は、倉敷・宇和島・松山・境港。でも殆どがセット撮影ですけどね。

いきなり宇和島のジャンヌダルクことマッハ文朱と勝負してしまう桃次郎。蹴散らしたのは良いが、彼女の仲間に取り囲まれ窮地に陥る。
かくなる上は…まさかそんな手を使うとは(笑)

ヒッチハイクの女子大生と知り合い、シリーズお馴染みの“臭い仲”。更に盛り上がらんとする桃次郎(笑)するとそこに、四国巡礼中の美人由美かおるが登場。
勿論桃次郎一目惚れ。
「今いやらしい奴がいましてね!懲らしめてやろうとしたんですよ!」(笑)

場面は変わり当時の映画界で象徴的な出来事であった、『愛のコリーダ』裁判に引っ掛けたのか、“コリーダ”こと杉浦直樹が登場。
このキャラクターがまた傑作。闘牛の町宇和島だけに、闘牛士とフラメンコを真似た様な奇妙奇天烈な扮装(笑)
トラック勝負を挑まれ戦うが、途中で身重の松原智恵子を助けた縁で名付け親に。別れた旦那がトラック野郎と言う事実を知る。

再び場面は変わり倉敷のドライブ・インの食堂。
桃次郎とジョナサンは巡礼美人の話で盛り上がる。しかし、由美かおるにこの食堂への就職先を紹介したのはジョナサンの方。逆に桃次郎が紹介したのは松原智恵子の方。
これが後々誤解を招く。
ところでこの食堂を切り盛りするのが唄子啓介のコンビ。子宝に恵まれ無いからジョナサンに泣き付く。
ジョナサンは反対するが、何度も泣き付かれほだされた愛妻春川ますみが…。

子はかすがい。幸せな食堂夫婦。
一方ジョナサン家は、巡礼美人由美かおるとのツーショット写真が大問題に発展。
そして桃次郎は当然の様に今回も手紙でプロポーズ。しかし啓介がこれまた当然の如くに勘違い(笑)
生活安定の為に一匹狼を止めるジョナサン。父親を待つ娘。切ない親子物語が展開される。

何とか大団円でこの問題は解決するが、再びコリーダが登場し、再戦決着へ。しかしコリーダの妹は…見事にお返しを喰らう桃次郎(笑)
由美かおるは留学を希望。それ以外にも何かとお金が入り用で…。すると桃次郎お金を作らんと博打三昧。
ここは宇和島。コリーダから一発大勝負を進言される。

新たな仕事先で、パンクして困っている時に知り合った男が実は…と知るジョナサン。
大晦日にその男が事故に…。一肌脱ぐ桃次郎。
松原を乗せトラック野郎の心意気を発揮する。
肝心の恋はまたしても実らず、男やもめは今日もどこかで走っている。

鈴木則文監督の良い意味でのいい加減さが全開(笑)特に杉浦直樹と菅原文太が大喧嘩を始め、蜜柑工場にまで波及する場面。ベルトコンベアに乗せられ、場違いな大きな箱が2つ。この馬鹿馬鹿しさこそが則文映画の真骨頂と言える。またトラック勝負の場面や、クライマックスでの山越えの場面で、バレバレな位にミニチュアを使用しているが、それもまた楽しからずや。
ワンシーンのみコメディリリーフ出演の、由利徹と、南利明できっちりと笑う(笑)

「もう一生牛肉は食べない!」

この嘘つき野郎が(笑)

劇場鑑賞 日時不明 新・文芸坐