吹き抜ける青空のもと、どこか緊迫感に欠けたパンデミックが展開されるこの映画を通じてシャマランはなにを伝えようとしたのだろうか。
人類は地球にとって害だから間引いた方がいい。
この惑星の未来を憂う終末思想がテーマなのだろうか。
いや、それは違う。
自殺ショーの合間に挿入される希薄な人間ドラマの中、力点を置き描かれていたのは化学教師(M・ウォールバーグ)とその妻(Z・デシャネル)の関係の修復。そう、これは夫婦再生の物語なのだ。
大量の人びとが死んでいく中、それでも子を宿し、育てていくという結末は人間賛歌とも読み取れる。
人を選ぶ作品であることはもはや言うに及ばず、"不自然なあれこれ"はシャマラン特有の味わいと言う他ない。それをどう咀嚼するのか、きっと我々は試されてるのだ。