こなつ

真夜中の虹のこなつのレビュー・感想・評価

真夜中の虹(1988年製作の映画)
4.0
明けましておめでとうございます🎍
本年もどうぞ宜しくお願いします。

新年早々地震があって驚きました。
皆さんのところは大丈夫でしたか?
東京も揺れたらしいのですが、私、お屠蘇を飲みすぎちゃって、、フラフラしていたもので気が付きませんでした⚠️

今年最初の鑑賞は、やはり今一番気になっているアキ・カウリスマキ監督の作品から。

「労働者三部作」の2作目であるこの作品もまた、社会の底辺に属する労働者を主人公に、仕事やお金もなく徹底的に踏みにじられる人間性とその回復を描いている。このカウリスマキ作品も、厳しい人生を描いているにも関わらず優しさに溢れていた。

フィンランドの北の果て、ラップランドの炭鉱が閉山され失業したカスリネン(トゥロ・パヤラ)に真っ白なキャデラックの鍵を託し、父親が自殺する。欲もなく無愛想なカスリネンがひたすら南を目指して進む。途中有り金を奪われ、すっかり運にも見放されたカスリネンだったが、イルメリ(スサンナ・ハーヴィスト)という女性と彼女の息子に出会ったことで交流が始まり、彼の人生もやっと上向きかと思えたのだが、、

これでもかと言うくらい次から次へと運の悪い事が起こっても、主人公に悲壮感を感じない。淡々と生きている姿にユニークな雰囲気さえ感じる。それが正にカウリスマキ作品なのだ。カウリスマキ作品の常連であり今は亡きマッティ・ペロンパーが刑務所の仲間で一緒に脱獄を企てるミッコネンという役で出演していて存在感が大きい。壊れていた車の幌まで動かして見せ場もしっかり作っている。肝が座っているという点では、カスリネンが好きになったイルメリという女性も大したものだ。その息子も子供ながら無表情でやけに落ち着いている。カスリネンにピッタリの親子だなと思ってしまった。人生色々あっても何とかなる。そんな事を感じさせる物語だった。

ラスト、3人が逃避行するメキシコ行きの旅客船「アリエル号」の文字が闇夜にくっきり浮かんで、3人の未来の幸せを暗示しているかのようだった。
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