このレビューはネタバレを含みます
[フィレンツェの眺めのいい部屋]
ラヴ・ストーリィとしての話はありきたり。
しかし、ルーシー(ヘレナ・ボナム・カーター)が、自分とは合わないセシル(ダニエル・デイ・ルイス)から離れ、自分の気持ちから逃げてギリシャへ行こうとするのもやめて、ジョージ(ジュリアン・サンズ)と“眺めのいい部屋”を再び訪れるのにも、グッと来た。
ルーシーが自分の気持ちのままに進むのは、やっぱり感動させられる。
始まりのプッチーニの“私のお父さん”を初めとする音楽の使い方も良かったし、旅行先のフィレンツェも、“眺めのいい部屋”から観るベッキオ橋も、本当に美しかった。フィレンツェという街は何だか不思議な所だと思う。実際に観ても本当に綺麗だったけれども。
ジュリアン・サンズはちょっと影が薄く、マギー・スミスもダニエル・デイ・ルイスもジョナサンの父親のデンホルム・エリオットもいいけれども、ヘレナ・ボナム・カーターが最も初々しくも貫録があって良かった。
「ハワーズ・エンド」に続いてジェイムズ・アイヴォリーのを再び観る。落としどころがきっちりしている(2021.6.7)。