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武蔵野夫人のtosyamのネタバレレビュー・内容・結末

武蔵野夫人(1951年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ヴェンダース小津の東宝作品がよかったのでゴダール溝口の東宝作品ということで期待してみてみる。撮影はゴジラ浮雲の玉井正夫だ。いわゆる白樺林をセレブが散策するジャンル映画としての高原映画。地平線のむこう東京への爆撃がゴジラチックな特撮。婦女子に配給される青酸カリ防空壕ほってたらでてくる人骨いやがる婆にうれしそうに手にしてちかづく爺。婆即死。墓場で爺遺言即葬儀シーン。ギャグかとおもうぐらいまがまがしい。爺葬儀中の空襲警報でいきなり戦後にタイムスリップ。謎の復員兵帰還でまきおこる犬神近親相姦異常性愛相続ミステリー。季節がいつも夏なのは地球によくにたパラレルワールド武蔵野パークをえがいたタルコフスキーチックな田園sfだから。音楽も映画音楽というより遊園地や行楽地でながれる宣伝音のような過剰さで武蔵野ふくめ戦後のすべてが作り物といわんばかり。田中絹代がウエストワールドのユルブリンナーみたいなロボット感でまさに武蔵野夫人その電池がきれたかのようなこときれかた。武蔵野パークの先代進藤英太郎博士によって建造された乙女ロボットが武蔵野パークから一歩もでないで武蔵野パークをけなげに一人まもりぬく。なかなかせつない。もしかしたら赤線地帯にまさるともおとらずの自分大切な心のわすられぬ作品になるかも。風と共に去りぬ級だ。田中絹代はロボットみたいだが同時に少女のようでもある。とんでもない名演だ。戦災でやけだされ千と千尋な奉公にだされた孤児のようにえんじている。武蔵野が東京の下町のようなストリートにみえる。それも洋画っぽくニューヨークのコニーアイランド。
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