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マンハッタンのkojikojiのレビュー・感想・評価

マンハッタン(1979年製作の映画)
3.7
#1198

1979年のアメリカ🇺🇸映画。
監督・脚本をウディ・アレンが務めた作品です。

私はいつも言葉の多い人間をどこかで信用していないと感じます。そのため、ウディ・アレンの映画を観ると、登場人物たちの多弁さに閉口してしまうことがあります。この点が、私が彼の映画や彼自身を嫌う理由だと思っています。

しかし、今回の映画はちょっと違いました。物語のラストで、主人公のアイザックは、18歳になった彼女から次のように言われます。「少しは人を信じてみなさい」と。
その瞬間、彼の焦りの表情が緩み、微笑みが浮かびます。

アイザックは美しいマンハッタンで暮らし、やりがいのある仕事に携わり、素敵な恋人と知的な仲間に囲まれているように見えますが、実は彼は孤独です。このシーンによって、彼の内面の孤独さが一気に理解されるかのように感じました。言葉にするというよりも、心で受け入れたと言った方が正しいかもしれません。

彼は最後のこの言葉を通じて、自分が忘れていた何かを取り戻すのです。ウディ・アレンがこのような映画を制作するのか、私には不思議で感動的でした。

物語の主人公、アイザック(演:ウディ・アレン)は自分の妻と離婚し、新たな恋愛関係を築こうと努力しています。彼は17歳の恋人トレイシー(演:マリウェン・ハヴェンズ)との関係を深めつつも、彼女の友人メアリー(演:ダイアン・キートン)に興味を持ち始めます。しかし、メアリーは彼の友人との不倫に悩んでいます。

モノクロのニューヨークの美しい風景は、モノクロならではの独特の雰囲気を醸し出しています。オープニングから絵になるような風景が広がります。ニューヨークという街がとても羨ましく映りました。

この映画を観ながら、私は感じていました。実は私はウディ・アレンが描こうとしているものが大好きなのだと。彼の作品には嫉妬さえ覚えるほどの魅力があります。一方で、彼の作品には劣等感をくすぐる要素が触れられている気がして、それが少し苦手でもありました。しかし、それでもこの雰囲気に酔いたくなるのは不思議なことです。


2023.05.22視聴234
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