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ソフィーの選択のsayuriasamaのレビュー・感想・評価

ソフィーの選択(1982年製作の映画)
4.8
ソフィーの重すぎる人生、ネイサンの虚飾、そしてスティンゴの汚れなさ

午前10時の映画祭大本命。実はAグループ上映時に行きたかったのですが、忙しく、時はすでにBグループ上映作品に。いつものところで観れなかったのは痛恨でした...

さて、言わずと知れた名作中の名作。メリルストリープの不健康そうかつ危ないバランスの愛の中で生きる美しさから、普通の人間として生きていた過去、収容所での痛々しい姿...どれをとっても素晴らしい演技でした。

また、私はスティンゴを演じたピーターマクニコルのファンでして。TVドラマの脇役で、3枚目っぽい変人をやらせたらピカイチの人なのですが、(ナンバーズというドラマでは白いものしか食べない教授役を演じてました...)
今回はパリッと純粋な青年を好演。(というか、自分は3枚目で尖ったキャラを演じる人のたまに魅せるシリアスさに弱すぎる..)

ストーリーはすごく長くて、家で観ていたら飽きてご飯作りだしてしまいそうな場面もありましたが、映画館ですからしっかり集中して観れましたし、特にソフィーの回想シーンは濃密で、まるで違う映画が挿入されているようでした。(いい意味で、映画を2本みた気分になりました)
ネタバレしないように語るのは意外と難しいですが、一番のクライマックスはソフィーはもはや幸せを信じることができず、ネイサンみたいな男じゃなければ、大きすぎる痛みは押さえられなかったのだろうなあ、スティンゴの優しさはむしろ傷口に塩を塗り込まれているように感じたのだろうなあとしみじみ思いました。

登場人物3人であれだけ魅せる作品、役者の力量がすごいのだなあ、
そして、マーヴィンハムリッシュのサントラ、美しいほど、闇も深く暗いと思わせる旋律が今も心に残ります。

ソフィーのような選択をしなくてもよい世界が続きますように。
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