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ヴィタールのinazumaのレビュー・感想・評価

ヴィタール(2004年製作の映画)
3.7
事故で記憶の一部を失った青年が、医大生となって解剖実習に励む。解剖対象は青年と共に事故に遭い、命を落とした彼女だった…という、偶然にしても嫌すぎるストーリー。青年は解剖を境に、彼女がいない現実と彼女がいる虚構をゆらゆらとさまよいます。
肉体の変容を描いてきた塚本監督が、今度は肉体の内部を映し出すことで、意識の変容にたどり着いた…のか??塚本監督が10年以上の歳月をかけて医療文献の読み込みや医療関係者への取材を重ねた結果、案の定とんでもない難解映画が完成してしまった。しかし『鉄男』よりも前から構想があった本作は塚本監督にとって重要な作品であることは間違いなさそうです。

どうせ難解にするならとことん難解にしてほしかったですね。ラストカットが、"現実の方がいい"みたいな安易な着地に見えてしまって、ちょっと残念でした。虚構が悪いなんて一概に言えないですし。

一瞬ですが、村松利史や綾田俊樹など良い顔したジジイ俳優たちが登場します。この映画で唯一笑えるところかもしれません。お見逃しなく。
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