ひでG

転校生のひでGのレビュー・感想・評価

転校生(1982年製作の映画)
4.0
大林宣彦監督尾道シリーズ第一弾にて、最高作!

前2作との比較をしながら、この映画の特性を考えていきたい。

「時をかける少女」は、最も切なく、哀しい。
アイドル映画なのに、一番地味で、メリハリにはかける面もある。
ただ、ラストに向けて、「時は戻らないんだ」という痛いほど「時の重み」を示すシークエンスの積み重ねは見事だった。

「さみしんぼう」は、一番美しい。何と言っても富田靖子!胸がキュンキュン!
俺も自転車直してあげた〜い!
フェリーのシーン、夕日の2人、カメラも綺麗にだし、「別れの曲」の使い方もマッチしている。
ただし、映画全体のバランスがやや悪く、ラストに向かい、盛り上がりは足りない。

さて、本作。3作では一番バランスがよく、話も淀みなく流れる。
ラストに向かい、締めも素晴らしい。

思えば、「転校生」の2人は、まだ中学生。青春前の年齢。
まだ切なさを感じる前の出会いの映画である。

ラストの名セリフ。「さよなら僕」「さよなら私」は、自らの少年時代への「さよなら」

「さよなら」は、明日へのステップ。新しい明日への旅立ちでもある。

この尾道映画は、当時に「尾美としのり3部作」

3作で、それぞれ違う青少年を演じ分け、相手役も十分に引き立たせる名演技である。この若さで凄いな。
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