エイデン

クレオパトラのエイデンのレビュー・感想・評価

クレオパトラ(1963年製作の映画)
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紀元前48年
内戦に荒れる共和政ローマの執政官ユリウス・カエサルは、政敵である元老院派のポンペイウスの軍勢をファルサルスで撃破、実質的にローマの実権を掌握する
騎馬隊長アントニウスは、逃げたポンペイウスがエジプトに渡ったことをカエサルに報告し、彼はその足でエジプトのアレクサンドリアへとやって来る
エジプトは先代王の遺言でプトレマイオスと、その実の姉であり妻でもある王妃クレオパトラによって共同統治されていたが、王位の独占を図ったプトレマイオスはクレオパトラを追放
静かな内紛状態に陥っていた
カエサルを迎えたファラオ プトレマイオスは尊大な態度でシーザーを迎えるが、カエサルはその雰囲気を手に取るように振舞って見せる
先代王より共同統治の補佐を任されていたローマの代表としての立場を示すカエサルだったが、プトレマイオスがローマへの協力姿勢を誇示するために出したのは討ち取ったポンペイウスの首だった
カエサルはプトレマイオスの反ローマとも取れる行動に警戒しつつ、その日は部下達と王宮で泊まることに
その夜 カエサルは突然現れた従者の訪問を受ける
従者は王妃クレオパトラからカエサルへの贈り物として豪奢な絨毯を抱えていた
カエサルは暗殺を警戒しながらも絨毯を広げるが、中から出てきたのは見目麗しい女性
彼女こそクレオパトラ本人だったのだ
クレオパトラは女性ながら凛とした教養人で、カエサルに対して直接交渉をしに来たのだった
それは、今後もエジプトの富と食料をローマに提供する代わりに自分の王位独占のため協力してほしいというものだった
ローマはエジプトとの同盟あってこそ栄えたこともあり、プトレマイオスの態度を考えれば頷かざるを得ない条件だったが、それはプトレマイオスとの戦いを意味する
考える時間が必要だったカエサルは、一度はクレオパトラの提案を受け流してしまう
しかし後日改めてクレオパトラの元を訪問したカエサルは、提案の承諾を申し伝えるのだった
やがて2人は、お互い結婚した身ながら惹かれ合い愛人関係となっていく



世界三大美女の1人としても有名なプトレマイオス朝最後のファラオ クレオパトラの半生を描いた史劇

2007年に『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』に抜かれるまで史上最高額だった製作費を費やしながら、同時に映画史上最悪の赤字を出したことで、映画史上空前の失敗作という汚名で今なお有名な作品
まあその製作費が膨れ上がっていく過程も面白いけど、肝心のストーリーは割と堅実に面白い

プトレマイオス朝を支えながら、シーザー、そしてアンソニーとの恋に燃えるクレオパトラはまあ古くからモチーフにされてきたわけだけど、巨額を投じた映画という舞台の中で尚も煌めく
映画黄金期の作品にも言えるけど、まあとにかく演出や舞台装置の壮大さに尽きる
美しく格式高いエジプトやローマのセットに、ディズニーアニメかと思うレベルの凱旋シーンは金の臭いがムンムンするけど、CGでは出せない力強さを感じる
またエキストラも含めた出演者は約22万3000人という
都市かな?

一方で元は『シーザーとクレオパトラ』、『アンソニーとクレオパトラ』と2部作構想だったものを1つにまとめたこともあって、当時の上映時間ですら194分
DVD版などでは244分という長尺になっており、1日の6分の1を費やさなければ観られないので、90〜120分くらいの映画に慣れてる方にはキツいかもしれない
でも主要キャラクターはある程度絞られてるので混乱は招かないと思う
また史劇にありがちな歴史知ってないとわかりにくい問題も、基本会話劇になってるので説明多く大丈夫
代わりに戦闘シーンが薄いのがなあ

エジプトとローマの狭間で揺れる壮大な愛の物語は、実は公開年には興行収入1位を稼ぎ出しヒットも飛ばしている
それが前述のように失敗作と一言で括られてるのは、タイミング的な問題もあったのかもしれない
何にせよ製作の20世紀フォックスは本作公開後に会社が傾くほどの不景気に見舞われてしまう
それを救ったのは数年後に公開した『サウンド・オブ・ミュージック』だったりする
ありがとうマリア
エイデン

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