ジャンの悲惨な死から10年。策謀により彼の土地を手に入れたセザールとウゴランは、カーネーション栽培を成功させ、豊かに暮らしていた。美しく成長したジャンの娘マノンは、父親の死を不審に思っており、村民らと距離を置いて羊飼いとしてひっそり暮らしていた。ある日、狩りに出たウゴランは、泉で水浴びするマノンの裸体を見て一目惚れ。以来、毎日のようにマノンをつけ回すようになり…。
フランスを代表する女優エマニュエル・ベアールの出世作としても知られる本作。後篇の「泉のマノン」は、そんな彼女が演じるマノンの壮大な復讐劇。そしてウゴランの凄まじいストーカー愛の炸裂ぶりも見どころ。内容、演出、撮影等々、前篇をしっかり周到しており、こちらも非常に観やすくなっています。復讐劇の先にある悲惨な結末と、悲し過ぎる運命のいたずら。まさに宿命です。
前篇よりちょっと加点したのは、エマニュエル・ベアールによるところが大きいです。羊たちと無防備に山や泉を駆け回る姿…コレはヤバすぎる美しさ。若手にしては演技も及第点で、カトリーヌ・ドヌーヴ、イザベル・アジャーニの後継者になるであろうと非常に期待したものです。その後ジュリエット・ビノシュ、ソフィー・マルソー、サンドリーヌ・ボネールらと切磋琢磨して一時代を築きました。ウゴラン役のダニエル・オートゥイユのぶっ飛んだストーカー演技も特筆もので、特にアレを縫い付けるシーンは見てられないイタイタしさ。役では敵対する関係でしたが、ベアールとは後に子供を授かり、しばらく事実婚関係を続けていました。ラストを締めくくるイヴ・モンタンの渋い名演も素晴らしかったです。