Tラモーン

激突!のTラモーンのレビュー・感想・評価

激突!(1971年製作の映画)
4.0
『アオラレ』を観てからまた観たくなっちゃったやつ。数年ぶりの再鑑賞。


セールスマンのデイヴィッド(デニス・ウィーバー)は客先へ向かうため車を走らせていた。荒野のハイウェイを走っていると前に低速走行の大型トラックが走っていたので、先を急ぐデイヴィッドはこれを追い抜く。すると逆上したようにトラックはデイヴィッドを追い抜き行手を阻む。再びトラックを追い越すデイヴィッドであったが、今度はトラックは執拗にデイヴィッドを追いかけ回し始める…。


スピルバーグのデビュー作にして名作サスペンスの金字塔。後の『ジョーズ』にも通ずるような、さながら意志をもったモンスターのように襲ってくる大型トラックが恐ろしい。

冒頭のデイヴィッドが都会を抜けて次第に荒野へ向かっていく道中にクレジットが流れていく映像からとても引き込まれる。

くっだらないラジオ番組に笑いながら走るデイヴィッドの車の前に現れる大型トラック。デイヴィッドの車の後ろからトラックの前へ回り込んでいくようなカメラワークで2台のサイズ感の違いを冒頭でしっかりと描写する巧みさ。

そして初めは陰湿な嫌がらせ程度に苛立っていたデイヴィッドだったが、次第に命の危険を感じるようなサイコなトラックに恐怖を覚え出すシーンがお見事。くだらないラジオ番組から陽気な音楽へ、そしてそんなBGMとは裏腹にトラックに猛追され冷や汗を流すデイヴィッド。
迫ってくるトラックを正面から撮ったり、斜め後方ちょっと下からのアングルで撮ったり、デイヴィッドの車のルームミラーで見せたりと目まぐるしく変わるカットでトラックの凄まじいスピード感と重厚感、迫力を見事に表現している。

レストランでの疑心暗鬼のシーンはカーアクションとしては箸休めであっても、サスペンスとしては手に汗握るシーンであり、緊張感を保ちつつ観客を飽きさせないスピルバーグの上手さを感じる。

踏切のシーンとか、トンネルで待ってるシーンとか本当怖いよな〜。

ラストシーンはまさに決闘!腹を括ったデイヴィッドと追いかけるトラックのスピード感を洗濯物や、電車を追い抜くことで表現してるのカッコよかったなぁ!

あえてドライバーの顔を一切見せないことで描き切った殺人トラックがまるで生き物のような断末魔がまた恐ろしい。たくさん付いてたナンバープレートは今まで殺してきた人達の車のものなんだろうなぁ。

やっぱりスピルバーグの「全部を見せないからこその恐怖」の技術はこのころからの才能だったんだなぁ。


ジョジョ三部に登場するスタンド「ホイール・オブ・フォーチュン」はモロにこの映画ネタだったな笑。
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