Tラモーン

マーシュランドのTラモーンのレビュー・感想・評価

マーシュランド(2014年製作の映画)
3.7
スペインサスペンスはあんまり経験ないけど皆さん高評価なのでトライ。


ブランコ独裁政権下の名残が強く残る80年代のスペイン、アンダルシア地方。左遷されてこの地にやってきた若手刑事のペドロ(ラウール・アレバロ)と、なにやら訳アリ風のベテラン刑事フアン(ハビエル・グティエレス)は行方不明の2人の少女の捜索にあたっていた。曖昧な情報や証言しか得られず捜査は難航していたが、数日後少女たちは拷問された死体となって発見される。


猟奇殺人事件の不気味さはもちろん、捜査が進むにつれて頭の中を埋め尽くすように人間の底知れなさが描かれていて、メインストーリーの事件そのもの以上の気持ちの悪さを常に画面から感じる作品だった。

構成自体はかなり複雑なのに100分ちょっととコンパクトにまとまっている代わりに、散りばめられた情報量はかなり多く、それでいて全てを語らないという気持ち悪さもありながら、のめり込んで観てしまう緊張感はかなり面白い。

暴力と隠蔽に支配された湿地帯の閉鎖的な街が常に不穏な雰囲気を醸し出す。
疑わしい人、何かを知っていそうな人がたくさん出てくるのに皆何かを隠していてなかなか核心に近付けない。

"民主主義に慣れてない"

独裁政権の名残がここまで人を利己的に、疑い深くしてしまうのだろうか。

犯人は誰なのか?
刑事2人は自分の正義を貫けるのか?

ネタバレや他人の認識を入れないで観ることをオススメするので詳細は書きません。

"万事解決だろ?"

本当にそうなのかとモヤモヤを残したまま終わるこの感覚はかなりよかったです。
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