Tラモーン

ドロステのはてで僕らのTラモーンのレビュー・感想・評価

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)
4.2
夜中に目が覚めたので短時間で観られる作品を、と思ったら大当たり!


カフェのマスターのカトウ(土佐和成)は仕事を終え、同じ雑居ビルの2階にある自宅アパートへ帰宅する。ふと気がつくと部屋のTVが点いており、モニターの中の自分から話しかけられる。「俺は2分後の俺!」


めちゃくちゃ面白かった〜!
短編の『ハウンリング』を観てからクリップしっぱなしだったけど、もっと早く観ておけばよかったと後悔する面白さ。

限られた舞台と登場人物、そしてたった2分先(もう少し先まで見られるようになるけど)という限られた状況だから生み出せるライブ感と、ほとんどノーカット風に見えるカメラワーク(iPhoneで撮ったらしい)がめちゃくちゃ生々しくてずっと面白い。

なんの特別な知識や能力があるわけでもないカフェのマスターと店員、常連客たちがふんわりしたSFの知識だけでタイムパラドックスとかドロステ効果をテンパりながらも、なんとなく分かりやすく説明してくれるのもいい。

"矛盾生じると怖いんで!"
"ドロステレビだ!"
"納得は!もうできないです!"


『カメラを止めるな!』と同じくアイデア勝負の奇跡のような脚本で生まれた面白さだと思うので、あらすじと設定以外のストーリーは知らずに観るほうが確実に楽しめる。

ドロステレビの仕組みを理解し切ったところでの終盤の流れがめちゃくちゃ上手くてニヤニヤしちゃった。そこまでの伏線も面白い。

"過去から見たらわかってたのかもしれないですね。そう考えたら悔しいすね"


コメディだけどオチは面白くもあり、ちゃんと未来に対するメッセージ性もあって素敵。

ヨーロッパ企画面白いなぁ。こういう劇団の役者さんたちが本領を発揮できる、コマーシャリズムを感じない邦画もっとたくさん観てみたい。
店員のアヤ役の藤谷理子が可愛らしくて好き。

主役の土佐和成の甲高い声どっかで聞いたことあんなと思ったけどEテレの『京も一日陽だまり屋』の翔太の人やんか!


"ゼブラダンゴムシつかって!カッコよかったよ…!"
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