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夏物語のらのレビュー・感想・評価

夏物語(1996年製作の映画)
3.9
ロメールの映像快楽の極みのような作品で最高だった。若い美男子(メルヴィル・プポー)が主人公だったり、その主人公が冒頭10分間ほとんど言葉を発さずないまま移動とアクションがとらえられていたり、『海辺のポーリーヌ』のアマンダ・ラングレが終始足を出していたりすることからも本作の美へのこだわりが覗える。避暑地ディナールの景観も極めて美しくとらえられている。物語は優柔不断な男が流され続けるだけの話で、教訓や教養が前景化し過ぎておらずいい意味で軽い。70代にして瑞々しい感性を保ちつつ円熟の境地に達したロメールの到達点。
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