むさじー

ミナのむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

ミナ(1993年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

<仲良し女子の儚く過ぎゆく青春>

同じ日に同じ病院で生まれたミナとエテルは幼い日に友達になるが、共に自分には魅力がないと悩んでいた。成長して少女期を過ぎると二人とも恋に目覚め、男性との交際や仕事など外に目を向けるようになり、それぞれの居場所に少しずつ隔たりができて、喧嘩と仲直りを繰り返しながら青春の日々を過ごした。
やがてミナは早期に目覚めたその才能と頑なな性格から画家の道を目指し、エテルはおおらかで社交的な性格から、ジャーナリストとして世渡り上手に生きていく。しかし、繊細な感受性を持ち芸術家肌のミナは情緒不安定で、恋も仕事もうまくいかず孤独な日々を送っていった。
そして再会した二人に悲劇が訪れる。追い詰められたミナは唯一残されたエテルとの友情に希望を見いだそうとするが、エテルは懐かしみながらも既にミナを必要としていなかった。エテルが会う約束を反故にして、そこに悪意はなく事情が変わっただけなのだが、ミナは裏切られたという思いから人生に絶望し究極の選択をしてしまう。
約束反古の電話を留守電で聞き、描きかけの絵を塗りつぶし、テレビから流れるダリダ『18歳の彼』を聴きながら薬に手を伸ばす。人間の弱さだけとは言い切れない、鬼気迫るような孤独と絶望が漂うこのシーンが凄い。
女性同士の友情、青春の輝きと痛み、人としての成長を描いたフランスの女性監督らしい、オシャレでシニカルな女性映画なのだが、終盤はシリアスな深みを持っていた。ややエピソード盛り込み過ぎの感はあるものの、ヒロイン二人の魅力に惹き込まれる。
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