半変人のお調子者

マチネー/土曜の午後はキッスで始まるの半変人のお調子者のレビュー・感想・評価

4.5
キューバ危機によって世界の終末への恐怖が高まる時期を舞台に、映画館を中心に繰り広げられる群像劇。

…とは言っても、核戦争寸前の凄い緊張感の中進んでいく映画という訳ではなく、基本的にはのほほんとした甘酸っぱい青春映画。
しかし、学校では全く何の役にも立たない核爆発からの避難を実施していたり、劇場の支配人が地下にシェルターを作っていたり、終末への危機感はしっかり反映されている。
しかも、そんな避難やシェルターといった終末への危機の象徴のような事柄が主人公ジーンとサンドラの距離が縮まるきっかけとなる事でしっかり時代感が恋愛劇に反映されていて上手い。
シェルターの中でのキスシーンがとても美しい良い場面だったなぁ。核戦争が始まってしまった→自分達だけが生き残ってしまった→アダムとイヴみたい→新人類を私達で作らなきゃと話をどんどん飛躍させていくサンドラに驚いてしまうけど笑
本人は下心も無く至って真剣だったからこそ後々になってめっちゃ恥ずかしくなりそう笑笑

スタンとシェリーの話はより青春映画っぽい。女の子の事を忘れられない元彼が脅してくる辺りとか、脅しに怖気付き嘘をついてデートを断ったらその嘘がバレて怒らせてしまう展開とかまさしくザ・青春映画。
ジーンの尽力によって仲直りし、熱烈にキスし合う二人を目撃してしまった元彼の暴走がまた可笑しい。

そんな青春映画の真っ只中にまんま白黒怪奇映画をぶち込んでくる辺りがジョー・ダンテらしい笑
放射能によって蟻と融合してしまった悲劇のモンスター"マント"が登場する新作映画、その名もズバリ『MANT!』。
その新作と観客を恐怖のドン底に突き落とす為の新技術を引っ提げてキーウェストの映画館にやってくるB級ホラー監督、ローレンス・ウールジー。座席に細工したり、劇場に怪物を登場させて観客参加型にしたり、あの手この手で観客を楽しませようとする。
モデルはB級ホラーの巨匠ウィリアム・キャッスル。監督の前作、グレムリン2でもオマージュを捧げてたのに、どんだけ好きなんだ笑笑

良いなぁモンスターに触られた瞬間に椅子がビリッとするシステム。体験してみたい…

映画評価基準

この映画が好きか 9
没入感 9
脚本 9
演出 9
映像 9
キャスト 10
音楽 8
余韻 9
おすすめ度 9
何度も観たくなるか 9

計90点