ミーハー女子大生

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのミーハー女子大生のレビュー・感想・評価

4.4
この映画の存在を知った時から、 へんてこなタイトルだなと思いながら、ずーっと気になっていた作品。

9・11 アメリカでの同時多発テロで最愛の父を亡くしてしまった少年オスカー(トーマス・ホーン)の喪失と再生の物語。
父が遺した1本の鍵に 父からのメッセージが込められていると信じ、 そのメッセージを受け取りたくて、 鍵穴を探す旅に出る。

描かれていくストーリーに 気持ちを重ねて、 こみあげる涙を拭いながら、 いい映画だった…と満足して見終えたけど、
見終わった後、フッと思い返す度にこの映画に溢れてる愛というか、その想いが よりはっきりと大きく感じられました。

何より、 両親(トム・ハンクス サンドラ・ブロック)、家族の愛の深さをしみじみと感じた映画でした。
高い知能と強いこだわりを持っているオスカー、そのことを認めながら見守りながら今まで育ててきた家族。
人と関わることが苦手な息子にゲームを通してその大切さを伝えながら、 最期まで息子を想い、愛し、気遣っていた父親も、
息子がやることを 本人が納得いくまで 見守ってきた母親も、
助けを求めたら、必ず答えてくれるおばあちゃんも、
あたたかい。

家族の愛はもちろん、 間借り人を演じたマックス・フォン・シドーの、一言の言葉も発しないのに表情の全てで語るオスカーとのやり取りは、もう尊敬というか、とても素晴らしい役者さんだって思ったし、ブラックと名の付く、多くの人たちのあたたかさもしみじみと伝わってきた。

そして、オスカーを演じた少年トーマス・ホーン。
ただでさえ強いこだわりを持っているのに、自分を責め、言えない苦しさを自分の中で抱え込んでもがいている姿。
思い通りにならないことにいらだち、愛する気持ちを素直に表現できずぶつけてしまう。思春期にさしかかってきた親への反抗も。
すべての複雑な気持ちの揺れが見事に表現されていると感じた作品でした。

映画の中でオスカーが 「アスペルガーの診断は …」と言っていたけど、 アスペルガーについて、少し知ってから観たほうがよりオスカーのことを理解できると思います。

突然、最愛の人を失う。
その大きな悲しみはいつも心の中にあって、決して消えることはないけれど、愛する人とのあたたかい思い出とその想いをいつも感じながら少しずつ前に進んでいく。
切なく辛いけど、たくさんの愛を感じた映画でした。

ストーリー 4
演出 5
音楽 4
印象 4
独創性 4
関心度 5
総合 4.4