えいがうるふ

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのえいがうるふのレビュー・感想・評価

4.2
ものすごく生意気であり得ないほど無礼な主人公の少年にやや反感を感じつつ、話を追うほどになるほどこれは恐らく本人が一番生きづらいのだということが分かり、切なくなった。

そんな彼が一歩踏み出すきっかけになる、ある出会い。確かに人は誰かと出会うことで傷つき、また救われる。人と関わるのが難しい彼だからこそ、稀有な出会いが大きな成長の糧にもなる。つい親目線になって本当に良かったねと心のうちでつぶやきながら涙腺が緩んだ。

それにしてもなんて素敵な父親だろう。この父にしてこの子あり。なんて素敵な親子だろう。
そして終わってみると、愛する人の死を受け入れるまでのそれぞれの喪の時間をとてつもなく優しい目線で描いていたことが分かり、またしてもああ、と言葉を失うのだった。