たばちゃ

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのたばちゃのレビュー・感想・評価

3.4
ある日突然大事な人を失ってしまったショックから葛藤、そして再び歩き出すまでを丁寧に丁寧に描いた作品。
到底納得いかないこと(夫の死)を、大人は次を生きるために、空の箱を土に埋めたり、日々忙しく生活し時間が解決してくれるのを待ったりする。
でも、オスカーは納得いかないこと(父の死、そしてその存在が薄れていくこと)に、徹底的に対抗する。
鍵はけして彼の望んだ物を開けなかったけれど、持つべき人に渡されてよかった。旅が終わってよかった。その旅を見守っている人がいたことも少し驚いたけど、同じように傷が癒されたのかもしれない。
私はこれほどまで、なにかを丁寧に消化しようとしたことがあるだろうか?