たばちゃ

ある男のたばちゃのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
4.1
孤独
かなり孤独

悲しいとさみしいは、違うね。
そこすごく大事なとこだと思う。

名前っていう名詞をぶら下げて私達は生きてるけど、決してその名詞だけでその人を表すわけではない。
存在こそがその人。
「どんなお父さんだったかを僕が話す」って息子が言ったけど、それってその人の事を話すというか、その存在を話すんじゃないかなと思う。
でも、清野菜名が「大祐」て声かけた時、やっぱりその名前に愛着を感じたんだよなぁ。
そこのところが描かれてるのも良かった。

あと、やはり柄本明の怪演。
名前や生活環境という後天的なところを剥ぎ取った人間って…。
本当のその人なのか。
逃れられない「血」の問題。

そして最後の「妻」という一番近くて遠い他人。

人間って分からなさすぎる。

だから、孤独。