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オール・ザ・キングスメンのkossのレビュー・感想・評価

オール・ザ・キングスメン(1949年製作の映画)
3.9
「権力は腐敗する。」政治の基本定理を論理的に物語化する。不正を暴き民衆に支持された男が、知事になり権力を手に入れると、自分の名前を冠した道路、学校、病院を建設し、贈収賄、買収、献金、裏金、私欲に浸る。

男の変化の心理が描かれていないと思うかもしれないが、この映画は感情ではなく、論理を追っている。大型の肖像写真が掲げられ、男が演説し、民衆が歓呼するのがヒトラーを想起させる。

アクトンの「権力は腐敗する。」は「されど民衆はさらに腐敗する。」と続く。権力を腐敗させるのは民衆であるというは民主主義の基本原理である。無駄話をしない真正面から正攻法で論じる政治映画で潔い。
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