勘違いなんかじゃない。
ちゃんと好きなんだ。
薄い胸板は、いくら勇壮な自分を演じてもその実、何一つ現実の重みを受け止められない。
君が僕を愛せないのは、君が男だから?それとも僕が男だから?
許さない道徳と、割り切れない想い。
誰にもコントロールが出来ない感情。
それは頭か末尾に「愛」がつく感情かも知れない。
或いは、そうじゃないかも知れない。
僕は不完全なこの世界で、ただ一つでも真実が欲しいだけなんだ。
今胸に抱く熱情が、君や他の誰かにはただ醜い劣情にしか見えなかったとしても。
「好き」は、この心から放たれたらどこへ行く?
会いたいけど君に会えない。
会いたいなら会いたいと言えばって?
言ったならどうにかなるの?
ただ、何も出来ず、不恰好に好きなんだ。
そんな気持ちは誰に知らせても、宙を舞って濡れた路面で踏みつけられて穢れるだけ。
君は、本当の僕を、私を知ってるの?
好きになる側には突き動かされながらも組み立てた理屈がある。
好きを受け止める側には理屈を組み立てる為の余裕なんてない。
君は僕じゃない。私は君じゃない。
君の「好き」は、人には理解できない。
君の「愛」は、ただの希望でしかない。
人が人を好きになる、それは惨めなことなんかじゃないはずだ。
なのに、なんでいつもいつも、こんな哀しい気持ちになるんだ?
僕は夕暮れからずっと海辺で、ただ薄い青色の月を眺めていた。
君が好きだ、その一言で、世界は変わる。
その後のことなんて、考えられやしない。
ただ溢れ出す想いは、止められやしない。
割り切れない、ちゃんと好きな気持ち。
世にそれを、青春という。