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隠し砦の三悪人のBaadのレビュー・感想・評価

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)
4.5
絵巻物を眺めるような楽しさ

TOHOシネマズ二条のオープニングのイベントの一つとして、大スクリーン(といっても座席数200行くか行かないか程度のそこそこの大きさですが)でのチャリティー上映で見ました。

この映画が娯楽映画としてどんなに優れているか、とか、階段落ちの場面のすばらしさなどについては既に十二分に語られているので端折るとして、<とはいえ、最近では往年の名作を意識した場面が元の作品のそれを超えることは希有なことでほとんどパロディーとしてしか機能して居ないことが多いように思うのですですが、この映画が製作された頃はこの映画に限らず、元ネタを遙かにしのぐ名場面がたくさん撮られたよき時代だったのでしょう>

シネスコサイズの画面を使ったのはこの映画が黒沢映画初、と言うことですが、百姓コンビが隠し砦にたどり着くまでの画面展開は、構図と言い、登場人物の体型(笑)といい、画面の切り替えの仕方と言い、さながら美術館で描かれている人物をひとりひとり確かめながら、絵巻物を順を追って眺めているような楽しみがあり、こういう画面の使い方があるのか、とほとほと感心しました。

制作年度は1958年だそうですが、モブシーンに動員されたエキストラの男性の3割ほどがまともに食事をしていないのではないか、というような肉の付き方で、妙なところでリアリティーがありました。
時代的にはそろそろ高度成長の時代にさしかかってい頃のはずなので、どういうところで募集をかけたんだろうかとちょっと気になりました。

そういえば主演級の役者さん達のなかでも、身分による体型の差は露骨だったような・・・
雪姫役の女優さんのすくっとのびた足の堂々とした太股とか、お嬢さんぽい大根役者ぶりはなかなかのものでした。

私の場合、リバイバルのものに限らず、大スクリーンで娯楽映画を観るのはもっぱらこういうコメディーとアクションが入った楽しい作品がほとんどなのですが、この手の作品の場合、主演女優の美貌と運動神経の良さ、一目見たら忘れられない特徴のある美しい体型、というのは作品が成功するための大きな要因ですね。
演技力や発声の悪さなどは、ある程度演出でカバーできますが、素材が平凡ではカバーのしようがありませんから。

前半の構成の緻密さに較べて後半の移動の場面でのフィルムのつなぎ方がが荒っぽくなっているのと、お姫様の声が発声が悪くて割れているのが少し気になりましたが、それはそれ、古き良き時代の豪華な娯楽映画を堪能しました。
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