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ショーシャンクの空にのGreenTのレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
4.5
私にとってこの映画は「友情」と「自由」っていいな!って思わせてくれる映画です。

エリートで銀行員やってた人が、冤罪で凶悪犯罪者ばかりがいるmaximum security刑務所に送られてしまうってすごい恐怖だろうなと思うのですが、そんなフツーの人が共感キャラのアンディを、ティム・ロビンズが好演しています。私はこの映画を観て、刑務所内で男の人がレイプされるというのを初めて知って、衝撃を受けたことを憶えています。

また、看守の残虐さ、人間的な尊厳を剥ぎ取られる辛さとかも、本当に観ていると心が痛くなる。

悪いことをした人達だからしょうがないじゃん!って思うかもしれないけど、「人殺しは処刑する」のような概念が「野蛮」だからと、近代社会は「更生 (rehabilitation)」のための制度を生み出したのではないのでしょうかね?しかし刑務所は実は、人を「無力感を感じ、外の世界で生きられなくなる (institutionalized)」ようにし、しかもそれを利用した刑務所の署長が囚人を奴隷化して利益を得る、のような構造が描かれています。

そんな中でモーガン・フリーマン演じるレッドは、仲の良いグループがいて、人間はどんな状況でもお互いを想いやって生きていれば、仲間ってできるんだな~ってちょっと救われます。この仲間たちが、まるで小学校の親友グループみたいで、「犯罪者版・スタンド・バイ・ミー」ってところですか。なんかみんなキライになれないキャラクター。

レッドは『セブン』のサマセット刑事に続いて、モーガン・フリーマンの代表的な名演じゃないですかね。素朴で思いやりのあるであろう性格、だけど自分の将来や運命に絶望を感じている様子が痛いほど伝わってきます。

対照的にアンディは、心の中に誰にも犯されない大事なものがある、それは希望だ、と信じている。犯罪者と違ってなよなよしているのに、暴力や権力に屈しない。権力や暴力に負けて、どん底まで突き落とされることがあってもあきらめない。頭がいいことから重宝されて、仲間にビールをふるまったり、図書館を作るまでに相手に要求を飲ませることもある。

レイプされまいと逆らったせいで、サディスティックな囚人たちに2年間リンチされ続けたり、署長に都合の悪いことをして独房に放り込まれたりするアンディを、無力感を感じているレッドは救うことができない。だけど、アンディが処罰を受けたり暴力を受けたりすると、必ずそばにいてくれるのがレッドなんですよね。寄り添うことしかできないけど、それを必ずしてくれる人。

この2人が刑務所の中でだんだんと年を取って、白髪になっていくところを見ると本当に悲しくなります。



ここからはネタバレになりますので、まだこの映画をご覧になってない方は、ぜひClipを!!



アンディの脱獄は実行可能なのか?今回は気になってしまいましたけど、20年かければ「事実は小説よりも奇なり」で、できちゃうかもしれませんね。でも、排水管が500フィート、フットボール・フィールド5コ分って説明されていたんですけど、その距離をあんな動きを制約された状態で、一晩で出てこられるのかな?と思いました。しかしあのシーンは当時衝撃で、あの汚水の中、ゲロ吐きながら500フィート、「私にはできない!!」って思ったことを憶えています。

50年も刑務所にいてすっかり落ち着いていたブルックスというおじいちゃんが、釈放されたのに自殺しちゃうという伏線があったので、レッドが釈放された後本当にハラハラしました。罪を犯して刑務所に入った後、出所させることが本当の罰なんじゃないかと。刑務所ではみんな犯罪者だから、仲間がいる。でも外の世界では、「前科者」として脇に押しやられて生きていくだけ。自分より年下の上司に足蹴にされて、「こいつを殺せばもう一回刑務所に戻れる」「でなければもう死んじゃおうか」。悲し過ぎます。

それが、アンディに会いに行こうとバスに乗って行くところで、バスの窓から顔を出して、風を浴びているあの笑顔!そしてアンディと再会する場面!!「自由っていいなあ!友情っていいなあ!」っていつも号泣してしまう。2人はこの先ずーっと、一日の終わりに海辺で仲良くビール飲みながら語り合うような生活を続けていくのだろうな、と素直に信じさせられてしまうんですよね、この映画。
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