こたつむり

エンジェル ウォーズのこたつむりのレビュー・感想・評価

エンジェル ウォーズ(2011年製作の映画)
3.2
ザック・スナイダー監督の趣味の世界。

ザック・スナイダー監督は。
『DCエクステンデッド・ユニバース』シリーズを手掛ける人気監督であり、写真を伺う限りでは“笑顔が素敵”なイケメン。アメリカの西海岸で、太陽の光が燦燦と降り注ぐ下、サングラスとハーフパンツで健康的に過ごしている…そんな印象を抱いていたのですが…。

本作の主人公は。
ツインテール、セーラー服、へそ出し、ミニスカート、ニーソックス、絶対領域…と、秋葉原あたりで“等身大のポップ”を見掛けてもおかしくない格好をした美少女。庇護欲そそる顔立ちであることからも、ある特定層に訴求しているのは間違いありません。

また、物語としても。
和風の世界観の中でモンスターと刀で闘ったり、ドイツ軍の陣地奥深くまで潜入したり、ドラゴンの住む城に突撃したり…と既視感満載の設定。どう考えても、監督は日本が(特にゲームが)大好きですよね?コッソリと来日して“おでんの自動販売機”を利用してませんかね?

いやぁ。何故だか親近感が湧いてくる話です。
よし。今から監督のことを《ザクたん》と呼ぶことにしますよ。

まあ、そんなわけで。
我らが《ザクたん》の作品ですからね。ゲームの影響を受けていると感じたのも、間違いではないのでしょう。1面はお寺、2面は戦場、3面はお城…と断絶した場面転換はゲームの様式美。XBOXでゲーム化されていても納得の展開なのです。

だからなのか。
物語中盤までは感情移入する余地がありません。主人公に同情できるような暗い世界観もキャラクタを活かすための設定。自分が操作していれば、爽快感があるのかもしれませんが…派手なアクションも感情が乗らなければ淡々と受け止めるだけなのです。

だけど、我らが《ザクたん》。
クライマックスでは確実に盛り上げてきます。特に主人公が“気付く瞬間”は鳥肌もの。さすがツボを心得ていますなあ。好き放題に描いておいて、最後の最後で帳尻を合わせてくる…“出来る男”は違いますね。

それにしても。
邦題から“秋葉原臭”がするのも…やはり《ザクたん》の指示なのでしょうかね。というか、主人公の背中から羽が生えてくれば完璧だったのに。ねえ。
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