「千と千尋の神隠し」のようなノスタルジーを感じる映画。エキゾチックな調度品、生活感のある料理のシーンなど、ベトナムらしさ全開のノスタルジックな風景が続く。奥様は文句も言わずに耐える女だが、私の祖母と重なって他人事に見えなかった。女が耐え忍ぶと男はますます調子に乗るんだよねえ。末っ子が寂しさを紛らわすかのようにムイを困らせたり、次男が鬱憤をぶつけるかのように虫を殺すシーンなどが印象的。虫籠のこおろぎにムイが自分を重ね合わせるなど、細やかな部分もよく作り込まれていた。全体的にセリフが少なく、ムイのセリフはほぼない。静かな映画だが、懐かしさと美しさが伝わってくる良作。