むらむら

青いパパイヤの香りのむらむらのレビュー・感想・評価

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)
5.0
「パラサイト」の一家にご奉公してたら、たちまち精神を病むだろうな、と思えるくらい純朴な使用人・ムイちゃんを中心とした、ベトナムの日常。

爆発やカーチェイス、無意味なヌードを求めて映画を観る人(俺)には一ミリも届かない作品だろーなと思って避けてたんだけど、とても印象に残る作品だった。

舞台はほぼ金持ち一家の家の中なのに、信じられないくらい奥行きのある映像。後半になればなるほど、台詞は減り、長回しの映像と、登場人物たちの行動だけで伝えたいことを表現していく。撮影監督(ブノワ・ドゥローム)は、最近だと「博士と彼女のセオリー」とか撮ってるけど、この長編デビュー作でも、迸る才能を発揮してる。

ベトナムは何度か行ったことがあり、ホイアンやフエといった昔の空気が残る街に行ったときのことを強烈に思い出す。毎晩のように停電して、発電機を回すんだけど、みんなが発電機を回す前の数分間、街が物凄い静寂に包まれるんだよね。その静寂は、この映画から受けるものと同じ、ベトナム特有の時間の流れ、みたいなものかもしれない。

文才ないのに真面目に書いてしまった。あ、ちょっとだけ無意味なヌードはあります。
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