赤いジャケット

宇宙飛行士の医者の赤いジャケットのレビュー・感想・評価

宇宙飛行士の医者(2008年製作の映画)
3.0
日本では劇場未公開となった2008年ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞のロシア映画
ガガーリンと医者、その妻と愛人
旧ソ連の宇宙開発物と思いきや
宇宙開発計画に携わる医者がジリジリと神経をすり減らしていく様を描いた映画
医者の葛藤を当時のソ連国民のメタファーだと捉えると興味深いのかも知れないけど
映像詩とも言える情景描写の数々に息を呑む
陰鬱な医者サイドと、快活なガガーリンの対比が良いな、こういうのは嫌いじゃない
他の宇宙飛行士候補が追い込まれる中、純粋に宇宙を目指すガガーリンが素敵すぎる
けど、あくまで本筋は追いこまれる医者の描写なんだよな・・・
こういう映画は洒落たバーやカフェのモニターでBGMの様に流していると良いんだろうな
しかし、宇宙開発ものでありながら、気がついたらガガーリンの乗るロケット、ボストーク一号が打ち上げられてるって、どうなんだろう?
ハリウッド的演出に馴らされてしまっている身には物足りなく映るけど、これこそ省略のダイナミズム
医者の魂がその妻や愛人を置き去りにして、ガガーリンと共に宇宙へ行ったとも言える
これはソ連イデオロギーは実生活においては有効ではなかったというメタファーかも知れない
こういう風にアレコレ考え出すと面白い