こたつむり

マネキンのこたつむりのレビュー・感想・評価

マネキン(1987年製作の映画)
2.9
♪ Just こころごと 止まらない
  もう あなたにドラマ始まっている
  Jin-jin-jin 感じてる

80年代ど真ん中直球のラブコメ。
エジプトからマネキンに転生した女性に恋する…というメルヘンなのか、ファンタジーなのか、はたまたアタマのネジが弛んでいるのか、ちょっと判断に悩む物語でした。

正直なところ、相性が悪いタイプ。
場面転換のたびに鳴る効果音に肩が下がり、MTVと勘違いするほどに音楽を前面に出す演出が退屈でした。

でも、これより古い映画は大丈夫なんですよね。
また、これより新しい映画も大丈夫なんです。
思うに、80年代が鬼門なんでしょう。コメディ要素が少なければ普通に楽しめるのですが(『アンタッチャブル』とか『スタンド・バイ・ミー』とか)。

たぶん、コントっぽさがダメなんです。
昔のお笑い番組でやっていた映画のパロディと同じように、場面場面で感情がぶった切られるので、どうしても心を寄せられないんです。

あと、強引な展開が多いですよね。
夜な夜なショーウィンドウを飾る主人公を警備員が見咎めるんですが、よく分かんない理屈で殴り合いが始まるんですよ。それでデパート店内がメチャクチャになるんですが…これって警備員として本末転倒じゃないのかな…なんて思いました。

また、シンセ音バリバリの伴奏も逆効果。
きめ細やかな感情を殺してしまうから、全体的にノッペリした印象なんですよね。そんな中で音楽に合わせて踊る場面とか…心が浮き上がるどころか沈む一方。寒くて仕方がありません。

この辺りは完全に相性だと思います。
物語の素材的には嫌いじゃないですしね。マネキンに恋する…という題材は面白いです。ただ、それを第三者視点から描き込めば、もっとサイコな感じで笑えたと思いましたが。

まあ、そんなわけで。
バブリーな時代に作られたラブコメ。
鷹揚な気持ちで接することが出来ない人にはオススメしません。冒頭のエジプトの場面からして、コントっぽさがにじみ出ているので、その辺りが気になったら引き返した方が吉です。
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