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最高殊勲夫人のslowのレビュー・感想・評価

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)
4.5
三原家の3人兄弟と野々宮家の3人姉妹。三原商事の社長である一郎と野々宮家の長女が結婚。さらに重役である二郎とは次女が結ばれた。こうなると長女は三女(若尾文子)と三郎(川口浩)もくっ付けてしまおうと目論み、あの手この手で2人を引き合せようとするのだが、当の本人達は面白くない。思い通りになんてなるものかと結託した2人は、お互いに恋人を作ることに。さてさて、二度あることは三度あるのだろうか?

飾らない若尾文子のキャラクターと豪快なピッチングフォーム。カラッとした人物達は皆憎めず、テンポの良さからか古くささも感じない。中でも川口浩は見直した。こういう演技ができる人だったんだね。そりゃ演出によるところが大きいだろうけど、こそばゆいような仕草や台詞も、滲み出るヤンチャさと上手く溶け合って作品に馴染んでいる。長男夫婦のサイドストーリーもなかなか面白い。船越英二はどの作品観ても役にはまっているから凄いよ。今作でもベストか、という妙演だった。
世相に違和感がある人もいるかもしれないけれど、増村作品の中では『青空娘』と並び爽やかで観やすい作品。ジャケットに惹かれた人は、観て損はないと思う。この2人の表情に全ては詰まっているのだから。
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