マルメラ

ザ・ビーチのマルメラのレビュー・感想・評価

ザ・ビーチ(2000年製作の映画)
3.7

綺麗なビーチが観れる映画として、ネットニュースで特集によくあがる「ザ ビーチ」。

評判通り、ビーチの綺麗さには脱帽。
しかし、タイのホテルの汚さ。
虫が床を這いずってるのを見て、あぁー自分は無理だとなりましたww
私はハワイで良いです。ハワイが良いです。

よく、自分探しの旅とカッコつけて東南アジアに行く奴いますが、この主人公も同じ。
言葉の通じるやつとしか仲良くならないし。
世界共通なんですね。こういう自分探しの旅気取り。
この主人公はそこから脱却しようとしますが、フランス人って言っても英語喋ってますし。
ビーチに行ってからも、英語三昧。
彼らがどこの国籍かはわかりませんがタイ人では無いww

ダニー・ボイル監督だったんですね。
「トレインスポッティング」とか「スラムドッグミリオネア」で有名ですが。
まぁ、そこまで好きな監督ではないかな。

とりあえず、デカプ若い!!!
こりゃ美青年ですわ。。
ここから、アカデミー賞獲得へ長い長い道のりが始まったんですね。
おじさんになっちゃって、体ボロボロにまでしちゃって。
デカプ、アカデミー賞おめでとう!!

この映画の魅力はやっぱり綺麗なビーチ。
映画的な最大の見せ場である、プランクトンが光る海でのキスシーン。
ここは、綺麗な映像見たなぁーっていうお得感はありますね。

なんか、ネットで前半は良いけど後半はダメみたいな評価を見たんですけど。
個人的には後半こそ良かった。

キチガイ野郎に貰った地図を頼りに、なぜか理由は分からないけど自分の部屋に訪ねてきた、横の部屋で声を気にせずイチャイチャしてるカップルを引き連れ、ビーチに向かうだけ。
主人公の目的である「ビーチに行く」ということは、映画のほぼ前半部で達成されてしまいす。

そこからは主人公がビーチで暮らす人々の生活に順応し、文字通り楽園の生活を過ごすだけ。
偶然サメを殺したら英雄扱い。
片思いしてた女の子に求められる。
お使いにいったら、ボスである女性に求められ、二回戦のおねだりまでされる。
天国じゃないですかww

ここからですよ!!!
楽園なんて実は無いんだということに気づき始めてからが、この映画の真骨頂でしょ。

怪我をした男を隔離して、見たくないものに蓋をすることで、楽園の生活を取り戻す人々。
それに加担する主人公を描くことで、この主人公がいかに人間性を失い、楽園での生活に染まってしまったかが描かれる。

そして、地図を取り返すという指令の中。
主人公がどんどんおかしくなっていく。
それを治してくれるのが、観光客の女性が目の前で撃たれるという出来事。
楽園と思っていた場所で、目の前で人が死ぬという行為を目にして、主人公はやっと人間性を取り戻すんです。

そして、ラストの一連の流れ。
あの麻薬作ってる集団のボスの粋なやり方。
楽園だと思っていた場所で、権力者が楽園を維持するために選んだ死という制裁。
それを目の当たりにした楽園の住人達は、主人公と同じようにやっと人間性を取り戻すんです。

臭い物に蓋をしていた自分達は間違っていたんだと!!

良いじゃないですか!!
オシャレじゃないすか!!

日本人なら想起してしまいますよね。
少し前の北朝鮮を。

楽園だと思い、北朝鮮に飛行機をハイジャックして旅立ったは良いものの、実は楽園ではないと気づいた時には既に遅く、楽園から出ることを許可されない犯人達。
そう!「よど号ハイジャック事件」です!

まぁ、この映画と違って彼らはハイジャックという犯罪を犯してしまったから、日本に帰ってこれないという一面もありますが。

北朝鮮では粛清という名の虐殺が行われていますが。
メディアを統制し、臭い物に蓋をしているから秩序を保っているのであって、公の場で処刑したら変化が訪れるんでしょうね。

中国でも天安門事件とかありましたが、メディアを規制して中国政府は難を逃れましたね。
未だに、中国のネットは天安門事件を検索できないんです。
怖っ!!

前半は何もない若者の自分探しの旅として描き、ビーチの綺麗さで観客を魅了しておいてからの、楽園なんて本当は無いんだと、権力者が失墜するときの実情を描く。

良い映画でした。
「スラムドッグミリオネア」なんかより全然個人的には好き。
あの映画は脚本に穴がありすぎますからww

まぁ、この映画も主人公がキチガイになる理由が不明確という点はあります。
あそこは権力者になりたい欲求があり、森の中で彼は権力者になったと勘違いする。
みたいな描き方をした方が良かった気がしますけど。

午後ロー録画された方、オススメです!!
マルメラ

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