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ネクロノミカンのSSDDのレビュー・感想・評価

ネクロノミカン(1993年製作の映画)
3.7
◾︎概要
1932年寺院にある"死者の書=ネクロノミカン"を保管する僧侶の監視を突破して、盗み読みを始めた作家ハワード・P・ラヴクラフト。浮かんだ構想をメモに写すが、徐々に何かの封印が解かれ始めていた…。

◾︎感想(ネタバレなし)
コズミックホラー作家のラヴクラフトを主人公に、三つの物語がオムニバスで進行する。
・エピソード0:ライブラリー
ラヴクラフトが僧侶を出し抜き、"死者の書"を盗み読みを始める
・エピソード1:ザ・ドラウンド
相続した60年間放置されたホテルに訪れた男は、相続以外に目的があって現れた。このホテルには曰く付きで、水難事故で妻と子を亡くした男がホテルの元所有者であった…。
・エピソード2:ザ・コールド
ある家に訪れたリポーターは周囲で起きた11件の殺人にこの家が関与していると踏んでいた。やたらと室温が低い家で、リポーターは真実を問う…。
・エピソード3:ウィスパーズ
ある警官は相棒と容疑者とカーチェイスの末、事故に遭うが相棒が連れ去られる。後を追うと謎のブッチャーなる人物が元凶だと建物の所有者の不気味な夫婦に告げられ、捜索を単独で行う…。
・ラストエピソード:ライブラリー
僧侶が異変に気づきラヴクラフトに"死者の書"を戻すように伝えるが、封印が解かれ異次元から何かが訪れようとしていた…。

いずれもクトゥルフ神話(人間が生きる前から存在した旧支配者と呼ばれる宇宙生命で、人間は知識やその言葉、姿を見ると正気を失う。下位の存在であれば共存することもあるが、徐々に人としての欠如し、海産の異形と成り果てていくという、暗黒神話の作品群)をベースにグロテスクに描かれている。

特に1993年といえどかなりの造形力でかなりゴアな表現が含まれる。1,2話の展開から油断していると3話でガッツリSAN値(正気度)を持って行かれてしまう。

個人的にはここまでしっかりした造形でグロテスクで表現し切れた当時の技術に感心したし、かなりの救いのない展開にフルチ・ルチオの地獄の門など思い出した。どの作品も楽しめたし、クトゥルフ関連の映像作品で気になっていたものは残すところはなくなった。
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