ガブXスカイウォーカー

惑星ソラリスのガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
3.8
『惑星ソラリス』を鑑賞するのは三回目である。
一回目は東京12チャンネルの深夜放送(1979年?)。吹替え版で短く編集されていたので観やすかった。
二回目は名画座のタルコフスキー大会(1980年代前半?)。同時上映は『ストーカー』(1979年)。場内は一癖も二癖もありそうな映画オタクだらけ。2本の合計上映時間は321分もあってキツかった。若かったとはいえ、我ながら最後までよく起きていたものだ。

その後、いつかもう一度観よう観よう思っている内に数十年の時が過ぎてしまった。
今回、DVDで鑑賞した感想は・・・・やはり長い。
以下、不満に思ったことを箇条書きにまとめる(原作は未読)。
・冒頭の地球のシーン(有名な日本の高速道路とか)は約40分もかける必要はない。退屈だ(そこがタルコフスキーの魅力なんだろ! と言う意見は多い)。
・なぜ誰も地球に、惑星ソラリスが研究員たちの記憶を読み取って思い出の人物たちのコピーを生み出すことを伝えないのか?(リメイク版では、言っても分からない、体験してみないと理解できないと言う理由)
・主人公クリス・ケルヴィン (心理学者)は、10年前に死んだはずの妻ハリーが出現してもほとんど驚かず冷静にロケットに乗せて宇宙に放り出すのは不自然(リメイク版では驚いていた)。

とは言え、脚本に難はあるが、ハリーが現れてからは面白くなっていく。タルコフスキーの長回しの演出が良い方に作用している。またソラリスの海の特撮や荒廃したステーション内のセットもよく出来ている。なによりハリー役のナタリア・ボンダルチュクは可愛い。自分をコピーとわかっていてもクリスを愛し続けようとする健気さを熱演している(137分あたりでビーチクが透けて見える)。
『惑星ソラリス』は淡々としており165分と長いので気合のいる作品だが、鑑賞後は達成感(笑)もあってすがすがしい気持ちにしてくれる。SFファンならば観て損はない古典SF映画であろう(リメイク版でもOK)。