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セルピコのjonajonaのレビュー・感想・評価

セルピコ(1973年製作の映画)
5.0
組織の中で正しくあろうとすると周囲が腐敗してる場合、1人だけ浮いてしまうのでかえってその人だけが変人に見えるという矛盾をとてもよく表してる。

ガールフレンドがする井戸の水の毒を飲んだ国王の話がこの話のテーマを象徴してて切ない。セルピコは毒を飲めない性分。

身内警官から賄賂を受け取るよう促され断るというしつこい位のやり取りの反復がその事の意味を強めていく。

ガールフレンドとの関係が崩れていくのが見てて悲しかったな。
彼女に語る警官に憧れた幼少期の思い出の切り取り方が素敵すぎて泣けた。秘められた謎みたいだったていう言い回し。
後で思い返すと前半の彼女に教えてもらったバレエステップで署内をピョンピョンしてたバカみたいな陽気さが泣けてくる。

セルピコのキャラがヒッピーで、ヘンテコな好き放題の格好をしてるのも半分は趣味、半分は真面目に警官やるなら犯罪者にバレない方が馴染めるという真剣な理由からなのがいい。変な格好してるのは逆に真剣に取り組んでるからという、この話自体で起こることとセルピコのキャラクター性が一致してる最高の服装。自由な男。

こういう人がいて欲しいし、いざって時に『事と次第による』て自分も言えるようになりたい。


【名言語録】

ー噂を聞いた。みんな不安がってるのさ
ー俺が賄賂を受け取らないからか
ー賄賂を取らない
警官なんか誰が信用する?
…何かしでかすんじゃないかと
皆心配してるんだよ
ー事と次第による

ー初めて警官に憧れた日のことを今も覚えてるんだ。
家の近くの通りで事件が起きて、俺は見に行った。人だかりができてた。大人たちを見上げて何があったのって聞いたけど、誰も教えてくれない。ワクワクしたよ。まるで秘められた謎のようだった。
しばらくすると、そこにパトカーがついて、青い服に金色のバッジをつけた人たちが現れたんだ。モーセみたいに、人だかりがまっ二つに割れて彼ら中に入ってった…
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