主人公が日露戦争帰還兵の「ゴールデンカムイ」がアニメ放送され始めたので、日露戦争といえば今作という事で改めて鑑賞。最初に見たのは小学生の時だったが、当時としてはかなり残酷描写が取り沙汰されて「ホラー映画」「さだまさし」という印象しかなかった。映画の売りである戦闘シーンは、ロシア帝国軍の旅順要塞攻略に無謀な肉弾戦・消耗戦で臨む日本帝国陸軍兵士がマキシム機関銃によって死屍累々を築いてゆく残酷シーンがほぼだがオーバーアクションも相まって異様な迫力がある。顔に重傷を負った兵士が幽鬼の如く戦場をうろつくシーンや敵要塞内に突入した日本兵が露兵士と血みどろの格闘戦をするシーンなどは残酷極まりない。しかし、角川映画の名作「戦国自衛隊」も今作の前年に公開されていたように、この時代は日本も戦争映画をガンガン作っていたのである。実に羨ましい限りだ。仲代達矢演ずる乃木希典が宮中に参内して軍状を報告する終盤、膝をついて号泣する乃木に三船敏郎演ずる明治天皇がそれまでの苦労を思いやりそっと肩に手を乗せるシーンには涙する。夏目雅子も非常に美しい。日本映画がまだ元気だった頃の真っ当な戦争映画です。「ハンバーガーヒル」はかなり今作をインスパイアして作ったのだと今更ながらに気付きました。
