バナバナ

ジンジャーとフレッドのバナバナのレビュー・感想・評価

ジンジャーとフレッド(1985年製作の映画)
4.0
今話題の人や、“あの人は今”をごちゃ混ぜにしたクリスマスの特別番組に、
30年前にコンビを解消したダンサーの、ジンジャーとフレッドが招待される…。

ジンジャーが駅から降りてホテルまで行く道や、テレビ局へ向かう道に、やたらとゴミが散乱している。道路沿いの看板も下品な物ばかり。
これは、ジンジャーがテレビ番組の車に乗り、これからクリスマス特番に出ようとしている事を考えると、この汚さ、猥雑さはフェリーニ監督のテレビに対するアンチテーゼなのだなとよく分かる。
実際、テレビの本番が始まった時の、雑多な出演者たち。
後ろで踊るダンサーのお姉さん達の衣装も超派手で、リオのカーニバルみたいだ。

フレッドが映画に出てくるのが遅いので、最初は何を描きたいのか分からなかったが、実はジンジャーとフレッドは訳有りの関係で、コンビ解消もすったもんだの末の事だったのだと分かってくる。
この二人が30年ぶりに再会するのだが、最初から出ている女優さんが、日本人の私から見たら70歳越えている見た目なのだが、フレッドを心待ちにする姿が上品でかわいらしい。

30年前にコンビを解消して、ジンジャーの方は再婚後、今は孫がいるそうなので60代位の設定だと思うが、なかなかチャーミングなのだ。
だから、フレッドと再会した後も、二人の表情などにジーンとする所が多く、ほだされてしまいました。

今まではフェリーニ作品を観ても、それ程深い感銘は受けず、どちらかというと相性が悪いと思っていましたが、この作品は長いけど、心が温かくなりました。
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