のほほんさん

ヘルレイザー2ののほほんさんのレビュー・感想・評価

ヘルレイザー2(1988年製作の映画)
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監督がバーカーじゃないという理由でなんとなくこれまで観ていなかった私はバカだったな。
いや素晴らしかった。
恐らくバーカーがやりたかったことを存分にやったという意味では1よりもこっちだったんじゃなかろうか。


それこそ「血の本」などを読んでいた時に何度も感じた、「やり過ぎっすよ」という感じ。
よくこんなこと考えますね、という陰惨な光景が眼前に拡がる(活字なのに)。
もはや訳がわからなくてこの先どうなるんでしょう?という不安。
だがしかしそれがなぜだか妙に美しく、快感だったりもする。


血を吸い続けると自分の皮膚が戻ってくる本作のジュリアシステムを見ると、やはり前作のフランクはちとせっかちだったのだなと分かる。
しかし、チャナードさん…。
よくぞ男とも女ともわからん血の滴る人体模型フルバージョンとキスできますね…(笑)
包帯で志々雄真実状態にしてもやっぱりおぞましいのよ。
しかもパズルボックスの謎を解く為に自分の病院に生け贄用患者と、パズル解き患者を用意しておく周到さ。
欲望の強さ。


彼の欲望は肉体を切り裂く方。
変身後の彼は頭を吊り下げられつつ指から手術道具を繰り出すというもの。
自分の嗜好が反映されるのだな。


そしてジュリアが誘いこんだ地獄は、迷路な通路の上になんかエッシャーの騙し絵みたいな世界が広がっている。


一方でフランクの地獄はベッドの上に艶かしい女性がいるのに布をめくるといなくなる、生殺し地獄(笑)
ここまで来ると彼の性欲ももはや見事である。


パズルボックスを解いた人がティファニーの様な純粋無垢な人であった場合にはその裏の欲望を見抜くセノバイトたち。
本作ではやっぱり元は人間であった彼らの素顔が拝めたりする。ピンヘッド作成過程は必見である。


前作の雰囲気を保ちつつ、その幻想性をスケールアップした世界観はまさしくバーカーならではのもの。
押収すべきジュリアのマットレスをチャナード宅にホイホイ送ってしまう警察はなんなのだというツッコミはあるが(笑)、丸出しの欲望と純粋さの対比も見られたり、下手すればコメディになり得そうなシーン(ジュリアの皮剥けとか)をも、異様なままこの世界の上に成り立たせたところも素晴らしかった。


1と2を続けて観たら更に楽しかろう。
バーカーファンとしては非常に楽しめた。

そしてなんと言っても!
引っ越し屋さん!(笑)