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すかんぴんウォークのmasatのレビュー・感想・評価

すかんぴんウォーク(1984年製作の映画)
2.0
80年代、東映と松竹にやり込められていた東宝の映画。
松竹は“フレーム”と“リズム”、東映は“闇”、そんな個性で市井と不良を描いていた。東宝は、兎に角、映像から何から“明るい”。無責任野郎とオトボケ社長シリーズの“明るく楽しい東宝”を掲げ、時代と反りが合わない平坦な作品を産み落としていた。
豊潤な80年代の中において、そんな東宝の柔なポリシーは、(本格)女優路線とは違う、アイドル路線にフィットし、独自の路線を突き進める。(かの角川映画の流れをシブトク踏襲し、独自に芸能プロ、後にテレビ局へと擦り寄った訳だ)

その代表的な一本。
この後、三部作を完結させた。

アイドルスター路線では、マシな方だろう。新人スター吉川晃司と、脚本家・丸山昇一のフィクションの人物が、飽く迄も作劇上、シンクロしていく。今では猫も杓子もやっているドキュメンタリータッチとは、一線を画す、全く違う高等技術である。さらに、監督・大森一樹らしく、随所に映画ファンを擽る瞬間を作っており、特にラストの、意味がよく掴めない高揚感などは、潔さすら感じた。

かくして、海を泳いでやって来た青年は、東宝のフィールドでゴジラとなり、これから何本もヒット作を産み出す。
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