J四郎

3時10分、決断のときのJ四郎のレビュー・感想・評価

3時10分、決断のとき(2007年製作の映画)
4.2
結構最近め(でもないか?)の西部劇でジェームズ・マンゴールドの監督作です。

クリスチャン・ベイルが演じているのは南北戦争では名スナイパーだった男。しかし足を故障して今や牧場のオヤジに収まっております。彼は偶然にも強盗団の犯行を目撃し、成り行きから強盗団のボス護送ミッションに志願する事になります。別に必要ないのにね。
この強盗団のボスがラッセル・クロウでもう一人の主役です。
お二人さんの演技は素晴らしく、クリスチャン・ベイルが特に凄味すら感じます。

このボスが中々魅力溢れるワルで捕まってるのに護送チームは主導権を握られっぱなしです。ワイルドな野郎だが聖句を引用したり中二心をくすぐる知的な要素も持ち合わせておりますぜ。
そんな彼の手下たちが野放しになってる中、危険な護送ツアーが始まる。
3時10分ユマ行きの汽車まで送り届ければ勝ちです。

西部の荒くれどもが跳梁跋扈している世界ですので、この旅は無事に済むはずがありません。予想通りトラブル続きで犠牲者も出る過酷な道中となってしまいます。

ようやく終点近くまでたどり着きますが、強盗団どもは意外な手を使って大反撃に転じます。これには保安官たちすらイモを引くほどビビる。
西部でも世界を回しているのは人間の欲望なのかも知れません。
でも牧場オヤジは引き下がらない。勝ち目ゼロの中、憑りつかれたようにミッション完了を目指します。それにはある退くに退けない彼なりの理由があったんですねぇ。

事態はヘンな方向へ迷走していき、そのラストはなかなか衝撃的なものでした。主役2人の人間ドラマが実に渋くてもはや西部劇というジャンルすら超えています。
牧場オヤジは本当の自分を分かってくれる奴が欲しかっただけかも知れませんな。
何とも複雑なエンディングなんですが、これはある意味ではハッピーエンドと言って良いんじゃないでしょうか?
J四郎

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