ピッツア橋本

時をかける少女のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

時をかける少女(1983年製作の映画)
4.2
"ラヴェンダー薫る土曜日"

言わずと知れたタイムリープ映画の金字塔。
自分はちゃんと観たのは細田守のアニメ版が最初だったので、この本家の大林宣彦バージョンはまるで別物に感じた。

クライマックスのタイムリープ中のストップモーションと津波のVFX、そして松任谷正隆サウンドが織りなす別世界感はマジでトリッピー。
いかにも大林宣彦らしい破天荒さ。尾道三部作の中で一番尾道を感じ難い作品ではある。

幼少期の雛壇での少年少女が傷を舐め合うシーンは優しくも甘美で危険な香りがした笑

ラヴェンダーの小道具としての機能ぶりが素晴らしくてナイスチョイス。香りと記憶の繋がり方がドラマチック。
タイムリープの理論と深町くんの存在目的が些か強引だけど、そもそもSFなんて不確かなものなのだから、これくらいわかりやすい方がかえって良いかもと思った。

原田知世がジョバンニで、深町くんの存在がカンパネルラみたい。『銀河鉄道の夜』の読後感にすごく似ていた。だからすごく泣けた。

改めて、大林宣彦作品の極めて特異な優しさに触れられて満足しました。
ピッツア橋本

ピッツア橋本