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全身ハードコア GGアリンのTSのレビュー・感想・評価

全身ハードコア GGアリン(1994年製作の映画)
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【無秩序の表現者】採点不能
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監督:トッド・フィリップス
製作国:アメリカ
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:60分
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 ロックの神様エルヴィス・プレスリーから、サーフィンしまくってたどり着いたのが何故か今作。一体全体何故ここに辿り着いたのか自分でもよくわかりません笑 パンクロック界の伝説的変質者として有名とされるGGアリン。いやもうごめんなさい。全く存在を知らなかったのですが、今作見たらもう一生、多分墓場に行くまで忘れられないくらいの破壊力でした。やばすぎ。ハードコア過ぎて引いてしまうレベル。ライブ中全裸の時点で余裕でアウト。彼を表現者と括っていいのかわかりませんが、とにかく社会に適合できず、圧制的な権威を否定し、真っ向から暴力でそれらを懲らしめていきます。その癖のありすぎる行動は、一周まわって最早感心してしまうレベルであり、熱狂なファンがいるということも確かに頷けてしまいます。

 ドキュメンタリー映画であり、彼を知る人物たちのインタビュー映像が流されますが、その映像こそがまだホッと見れる映像。アリンが出てくる映像はもうハラハラするものばかりで、次この人は何をしでかすのだろうという視点で見てしまいます。いや、全裸て。警察出動も日常茶飯事。彼はハロウィンの日にライブをして自殺をすると豪語しているわけですから強烈。警察も本当に大変なものです。

 そしてラストの衝撃映像。いやもうこれは引くのを通り越して笑ってしまった。というか引くのを通り越したら笑えてしまうのです。こんなことをする人間は、世界広しといえどもアリンくらいではないでしょうか。極めて下品なものなので、普通の感覚では全くオススメできませんが、まさにパンクロックの極限までいったような存在がアリンであり、とんでもない世界を垣間見てしまったという、ある種の罪悪感に浸ってしまう感覚。今でも社会の不条理に不満を抱き、法を飛び越えて自分を表現する人間は一定数います。人間社会の範疇でいうと完全アウトなのですが、自然の摂理でいうと極めて野生的であり、実はそんなに悪いということでもないんですよね。いやはや、本当衝撃。そういう意味での採点不能です。僕が「採点不能」にする理由は大体二つあり、一つは単純に尺が短いから、もう一つは自分では良さがわからないという皮肉で表すのですが、今作はそのどちらにもあてはまらない、点数をつけるのに本当に困った衝撃作という感じです笑 それにしても、驚くことに今作のメガホンをとったのが『ジョーカー』の監督でもあるトッド・フィリップスなんですよね。なるほど、もしかしたら今作が大いなるヒントになっていたのかもしれません。
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