ベビーパウダー山崎

女事務員 色情生活のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

女事務員 色情生活(1982年製作の映画)
3.0
不倫しても職場のオッサンから求婚されても満たされない地味な女性が、パチ屋の換金で知り合った若い男性に性的欲求をぶつけ人生が狂っていく。展開も物語も主演女優もギクシャクしていて、こちら側が掴みきれない唐突な出来事(人物の感情)の連続だけど、その不条理な負の連鎖に映画的な興奮をわずかに感じてしまったのも事実で、不倫相手の男性が誤って殺した妻を車のトランクに隠していると伝える終盤のくだり、毛布に包まれた遺体の不穏さ、映画の闇もじわじわと滲み出し、この追い詰められた女性のこれから先が見たくなった。
人生に波風立たせず、どちらかといえば真面目に生きてきた女性が、一つのきっかけで地獄に堕ちていく。こういったお話が好き。何も解決していないのにぐっすり寝て起きた朝にパトカーのサイレンが聞こえてくるラストは西村昭五郎『赤い禁猟区 ハードコアの夜』と似ている。