半兵衛

イヤー・オブ・ザ・ドラゴンの半兵衛のレビュー・感想・評価

3.0
娯楽映画を作りたいマイケル・チミノとマフィアと裏社会を掘り下げたいオリヴァー・ストーン、両方の個性があまり合致しておらず最終的には強引な雰囲気演出で持っていったところがあるけれアジアンテイストな世界観や、『ゴッド・ファーザー』とは正反対の荒々しく血みどろな暴力描写に監督独自の美学を感じて嫌いになれない。ラストの橋の上での銃撃戦もそこまでの流れが変であるけど夜の映像が美しくて決まっているので良い作品を見た余韻に浸れる。

全盛期のミッキー・ロークの格好よさにうっとりとさせられるけれど、あまりにも性格がひどすぎてドン引き。チャイニーズマフィアを摘発するため自分本意の超強引な捜査を展開し、その結果妻をはじめとして周囲の人たちが殺されてそのたびに怒りを露にするけれど「人のことも考えず自分の意見だけで捜査するからだろ」という気分になりどんどん共感しづらくなっていく。妻や知り合ったニュースキャスターとの対応も時代を差し引いても酷い。

冷酷な悪党でミッキー演じる刑事の宿敵であるジョン・ローンも決まっているけれど、内面が見えないので今一つのれない。

主役二人の銃撃戦からのラストが蛇足、あれだったらハリウッド的な男女のショットはいらんだろうに。
半兵衛

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