みかんぼうや

テルマ&ルイーズのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
3.4
かなり矛盾したことを書きますが、この話、全然好きじゃないんですよ。だけど面白かった。

2人の普通の生活を送っていた親友が女2人だけの旅で意図せずして大きな犯罪を犯してしまい、そこから犯罪の沼にハマり逃避行を続けていく・・・という話。私、こういう自業自得な犯罪逃亡劇、かなり苦手なジャンルなんです。「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」も「俺たちに明日はない」も好きになれなかった(例外的に、「明日に向って撃て!」は主演2人がカッコよくて大好きな作品)。

基本的に主人公たちの軽率な行動も、自分たちで正当な理由を作って1回犯罪しちゃえば何でもあり、みたいなノリが好きになれず。本作も、序盤のテルマの軽率さにかなりイライラさせられたし、主人公2人の行動にカッコいいとか潔いとか解放感みたいな感覚も全く持てない。

なので、もっと低評価をつけるつもりだったところからの、あのラストシーン。なんとも表現しづらいのですが、あのラストを観てある意救われたというか清々しさを感じました。「なぜ彼女たちは道を引き返せなかったの?」とか「何が彼女たちを追い詰めた?」とか、そんな気持ちがどうでもよく思えるくらい、切ないのに鮮やかなラスト。まさに「明日に向って撃て」を思い出させる実に映画らしく良いシーンでした。

最後まで主人公のテルマ&ルイーズには全く惹かれず、それ故に作品全体にはハマれませんでしたが、脇を固める男性俳優陣が熱い!中年ハーヴェイ・カイテルの雰囲気も抜群に良いですが、途中で出てくる大学生のフリした優男が登場時からルックス、話し方ともになんとも雰囲気があってカッコいい。・・・と思ったら、なんと若き日のブラピではないですか!まだブレイクする前ですが、既に独特の空気感と色気を全身から放っています。出演作とは知らなかったので、この脇での登場はちょっと得した気分でした。

この時代に性差を語るのも・・・と思いつつ、女性が主人公で日々のどこか鬱屈とした生活(特にテルマ)からの開放、というテーマもあるので、女性のほうがより主人公に感情移入できてハマる方も多い作品なのかな、と思いました。
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